カビの同定ってどうするの?

    2014年11月情報館記事掲載

    みなさんのお宅や勤め先で、カビだらけになっているような物はありませんか?
    当センターでは、JIS規格等の抗菌試験や浮遊菌に対する空気清浄器の性能評価の他に、生活や製造工程において、微生物が原因と疑われる問題が発生した際の原因究明のために、細菌やカビなどの微生物を同定する検査も行っております。ここでは、カビの同定に焦点を当てて概要をご紹介します。

    what

    同定とは?

    同定の定義は、「生物の分類上の所属や種名を決定すること」です。

    同定を分かり易く説明すると、「カビだらけになっている物から、カビだらけにしている犯人を特定する」ということです。

    同定することでカビの正体が分かり、正体が分かることで「どこからやってきたのか」、「人間に悪影響を与えるか」、「どう対処したら良いか」という情報を得ることが出来ます。

    Flow

    同定方法

    それでは、どのような操作で同定結果が得られるのでしょうか?

    検査試料を受領してから同定結果が得られるまで、大きく分けて3つのステップがありますので、同定方法の各ステップを簡単にご紹介します。

    STEP
    01

    カビの確認

    まず、カビに汚染されていると思われる検査試料を、目視もしくは顕微鏡を用いて観察します。カビらしい形態が認められれば、このステップで、カビに汚染されていると大まかに判断することが出来ます。
    目視や顕微鏡でカビらしい形態を確認できなかった場合は、次のステップまで進めて培養を行うことで、初めてカビがいるかいないかが解ります。

    STEP
    02

    カビの分離・単離

    カビが生えていると思われる所から一部を採取して、カビ用の培地に移植・培養します。カビがいると培養後に色とりどりのカビが生えてきます。これらのカビを詳しく観察するために次のステップに進めます。

    STEP
    03

    形態観察

    それぞれのカビを新たな培地の中央に移植し、単独で培養します。この培養方法を巨大培養と呼びます。巨大培養から、カビの生育速度・色・表面の状態等を肉眼的に観察すると同時に、顕微鏡でカビ胞子や菌糸の形態を観察します。得られた情報からカビを同定していきます。

    カビは細菌と比較して発育速度が遅く、培地上で明確な姿が見られるようになるまで1~2週間かかります。そのため検査期間は、検査試料を受領してから同定結果が得られるまで、少なくとも3~4週間必要です。

    necessity

    同定の必要性

    カビは、現在10,000属100,000種が知られていると言われています。

    全てのカビを確実に同定することは困難ですが、「敵を知り己を知れば百戦殆からず」という言葉にもあるように、カビによるトラブルを予防する為に、同定は必要な検査と言えます。

    北里環境科学センターでの実施試験ご紹介

    アレルゲン試験

    浮遊菌・かび試験

    手指消毒試験

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